働くことに大きな不安を抱えている人は少なくない。むしろ、なんの心配もなく働いている人はいないと言ってもいいのではないだろうか。悩みを抱えながら成長していくのが人間であるし、そう考えると仕事上の不安というのは成長のきっかけでもあるのだ。どんなに消そうと思っても、心配事や悩みは消えることはないだろう。だからこそ、いかにそうした悩みや心配事と付き合っていけるか、あるいはそれをプラスに転じることができるかどうかが重要なことなのだ。

　悩みを感じてはいけないとか、心配事は解消しなければならないなどという考えでいると、気持ちが追い詰められてしまうだろう。不安や悩みは感じてはいけないのではなく、それと正面から向き合い、受け入れていかなければならない。そうすることで、むしろ不安は和らぐものである。そして、自分が何を恐れているのか、何に悩んでいるのかということを知ることも大切だ。敵がわからなければ闘いようがないのと同じように、目をそらすことなく自分が何に恐怖を感じるのかということを知ることができれば、意外と小さなことで悩んでいたということが分かることもある。そうすれば、心の安定につながることにもなるかもしれない。

　恐怖観念というのは、あれこれと想像している内に知らず知らず大きくなってしまうものである。相手をよく見てみると、実はたいした敵ではなかったということはよくあることであり、仕事においても心配事や悩みの正体を掴むことが重要なのだ。